畳表の素材とデザイン
畳表の素材:い草と和紙
畳の表面を覆っている畳表(ゴザ)は「い草」という草でできています。い草畳は肌ざわり・調湿性に優れ、独特の良い香りがリラックス効果をもたらします。(い草畳の選び方については後述)
一方、い草の代わりに細く巻いた和紙を使った「和紙畳」もあります。和紙畳は「様々な色が選べる」「ダニが発生しない」ほか、和紙の表面を樹脂コーティングしているため「液体をこぼしてもしみこまない」「耐久性が高い」など多くのメリットがあり、特に近年は人気があります。
ただ当然い草の香りはしないことと、樹脂コーティングのためい草より硬い感触になります。
九州タタミインテリアグループでは、い草畳・和紙畳どちらも高品質の商品を取り扱っており、お客様のご要望に高い満足度でお応えする自信があります。
畳のデザイン:縁(へり)の有無
畳縁は畳の縁を摩擦から守って長持ちさせるためのもので、デザインのアクセントにもなります。
ただ、近年は「縁なし」の畳も人気で、特に半畳サイズの縁なし畳は様々な色や敷き方で多様な使い方がしやすく、「琉球畳」または「琉球風畳」という名称で多数販売されています。
「琉球畳」とは
現在、半畳の正方形の縁なし畳が「琉球畳」と呼ばれて人気です。しかし本来の琉球畳はい草でなく「七島イ」というカヤツリグサ科の植物で織られた畳表を使います。縁のあるなしにかかわらず、この「七島イ」を使ったものが本来の琉球畳です。
七島イはい草の5~6倍の強度と2倍以上の耐焦性をもつ優れた素材で、独特の手触りと香りがあります。しかし七島イの生産はい草以上に手間がかかるため生産者が激減してしまい、今では大分県国東半島の7軒の農家が作るのみの希少な素材となっています。
ですので実は「琉球畳」として売られている商品の多くは本来の意味での琉球畳ではありません。そこで本物と区別して「琉球風畳」や単に「縁なし畳」という名称で販売する畳店・畳メーカーもあります。
畳を構成する素材の選び方
畳を構成する要素
畳は、表面を覆う「畳表」、芯材の「畳床」、縁をカバーする「畳縁」で構成されています。
それぞれ、現代では様々な素材が使われているので、家を建てる時やリフォームで畳を使う場合は、必ず現物を見て触って確認しましょう。ここではそれぞれの素材の違いと特徴についてご説明します。
い草の畳表について
畳表の素材にはい草と和紙がありますが、特にい草は天然素材のため品質に違いがあり、上質のものを選ぶことが大事です。
1)い草の長さ
い草の質を決める大きな要素が長さです。長いい草で作られたものの方が美しい畳表となり、上質です。
製品の見分け方としては畳表の端、い草がはみ出ている部分(ヒゲ)を見ましょう。上質なものはヒゲの長さが10cm以上あります。
2)畳表の色
い草は刈り取り後、泥染め(※)と乾燥を経て畳表になります。織り込まれたい草の色にバラつきがなく揃っているものを選びましょう。
「青畳」という言葉があるように、一般に青い畳が良いと思われがちです。そのため中には青い染料で着色している粗悪品もあります。白い布で擦って布が真っ青になるような畳は着色しているので避けましょう。
【「泥染め」について】
い草は刈り取ってすぐに「染土」と呼ばれる泥に漬けてから乾燥します。この工程を「泥染め」と言い、以下のような効果があります。
- い草の表面を泥が保護し、耐久性を高める。
- 泥が均一な乾燥を助け、い草の色や艶がムラなく美しくなる。
- い草の葉緑素の酸化を防ぎ、日焼けによる変色を遅らせる。
- い草の香りに染土の香りが合わさり「畳独特の良い香り」が生まれる。
「染」とありますが、泥は着色が目的ではありません。しかし中には染土に青い染料を混ぜたり、泥染め後に染料をかけてい草を着色した粗悪品もあるので、注意が必要です。QTIのい草畳は全て、無着色の高品質ない草を使用しています。
3)経糸(たていと)
経糸の素材は綿と麻があり、麻の方が丈夫です。経糸が丈夫だと、い草を多く織り込めるので丈夫で見た目も美しい畳表になります。このため高級品には麻の経糸が使われます。
また、畳の目一つの幅に通常は経糸が2本入っていますが、より高級な畳表は2本合わせの経糸(二本芯)が2組で計4本の糸が使われています。
4)い草の産地
国産い草は年々栽培農家が減り、今では安い海外産(主に中国産)い草が製品全体の8割を占めると言われています。
ただ、中国産のい草は国産より1か月ほど早く収穫し出荷されるため、い草の強度が弱いためささくれやすく、長さも短めで色もバラつきが生じます。そのため国産い草の方が上質と言えます。
国産い草はい草製品全体の2割で、そのほとんどは九州(主に熊本)で生産されています。九州タタミインテリアグループは確かな品質の国産い草商品を、地の利を活かして皆様にお届けします。
畳床について
畳の芯である「畳床」は、大別して以下の3つがあります。
1.藁(わら)床 |
稲藁を圧縮したもの |
【良い点】 ・調湿機能に優れる ・適度なクッション性 ・香りが良い ・防音性が高い ・適切な手入れで他の畳床より長持ちする |
【悪い点】 ・湿気で腐ったり、ダニやカビが発生しやすい ・重い ・高価 |
2.藁サンド床 |
稲藁でポリスチレンフォームを 挟んだもの |
【良い点】 ・藁床より軽い ・藁床より安価 ・断熱性が高い ・ダニやカビが少ない ・ある程度のクッション性がある |
【悪い点】 ・藁にダニやカビが発生する場合がある ・通気性に乏しい ・藁床ほど長持ちしない |
3.建材床 |
木材片を圧縮したボードで ポリスチレンフォームを挟んだもの |
【良い点】 ・軽い ・安価 ・断熱性が高い ・ダニやカビが出にくい ・床暖房にも対応できる |
【悪い点】 ・硬い(クッション性に乏しい) ・通気性に乏しい ・藁床ほど長持ちしない |
近年は安価で軽く、ダニやアレルギーも発生しにくい建材床が最も多く使われます。
ただそれぞれに特徴や長所があるので、ご自分の目的・用途に最も合ったものを選ぶことが大切です。
畳縁について
「畳縁(たたみべり)」は畳の縁を覆う布で、擦れて傷みやすい畳の縁を守るためのものです。伝統的な畳縁は綿でできています。綿は高級感がある一方、退色する・価格が高いなどのデメリットがあります。
そのため近年は化学繊維のものが多く使われます。安価で退色しにくく、色柄も豊富なのでお部屋の雰囲気に合わせて自由に選ぶことができます。
最近は和洋どちらにも合わせやすい「縁なし」も人気ですが、部屋に合わせた畳縁を選んでコーディネートを楽しむのもお勧めです。